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2016年06月03日

着物に関する決まりごとは、時代とともに変わるもの

和装には季節や場面に応じていろいろな決まりごとがあります。でも最近では、必ずしもその通りではなくてもよいことがあります。
例えば黒留袖。ミセスの第一礼装とされていて、結婚式で新郎新婦の母親や親族、仲人が着るものです。とはいえ私が結婚した17・8年前には、黒留袖は新郎新婦の母親だけが着て、親族は黒留袖を着ないで訪問着や洋服を着る、といった傾向が既に見られました。それどころか式によっては、親族の立場で黒留袖を着たら、格が合わなくなってかえって失礼にあたるような雰囲気すら感じられたこともあります。

私は結婚してから、義弟やいとこの結婚式に出席しました。でも黒留袖は着ないで、訪問着や洋装で済ませました。
友人の結婚式にも出席したことがあります。このときもやはり、黒留袖を着ていたのは新郎新婦の母親だけで、他の親族は色留袖、訪問着、あるいは洋装でした。
私には子供がいないので、たぶん将来黒留袖を着ることはないと思います。甥の結婚式に出ることになったとしても、訪問着か洋服を着ることになるでしょう。こうした傾向が、いつ頃から、どのような理由で始まったのかはわかりません。しかしながらインターネットで調べてみると、地域や家によっては姉妹や伯母・叔母といった親族が黒留袖を着ることもあるようです。
もうひとつの例は、5月に単衣の着物を着ることです。着物は10月から5月までが透けない生地に裏地のついた袷、6月と9月は透けない生地で裏地のない単衣、7月と8月は絽や紗など夏物を着ることとなっています。このような決まりごとは、平安時代から行われている、6月1日と10月1日の衣更えに由来しているそうです。

ところが現実として、5月はかなり暑くなることもあるので、袷ではなく単衣を着る、という話をよく聞きます。またショッピングモールのテナントに入っているような呉服チェーン店に行くと、4月頃から単衣の着物を大々的に売り出すことがあります。

確かに、肌着と長襦袢を着けて、さらにその上に袷の着物を着るのは、5月だと暑すぎるような感じがします。地球温暖化の影響が指摘されると同時に、熱中症の危険性が広く知られるようになった昨今では、5月に単衣の着物を着るのはある意味で合理的だと思います。
和装には季節や場面に応じて、うんざりするほど細かい決まりごとがあります。とはいえそうした決まりごとは、必ず守らなければならない場面を残しながらも、時代の変化に応じて変わっていくものだということを、着物にふれるたびに実感しています。
  


Posted by emechi at 16:50Comments(0)ファッション